超猛暑の中4日間の合宿を行った。
分厚い柔道着はまるでサウナスーツ。立っているだけで滝のような汗がこぼれる。マジスパのアクエリアスを喰ったってこうは行かない。
ましてや、すべての窓を開けられない。いや、網戸のない窓は開けてはいけない。
しかし、あまりの暑さに耐えきれず、とうとう禁断の窓を開けてしまった…。
【奇襲】
すると、
一匹のスズメバチが道場に侵入し、一人の中学生の背中に止まったが、本人は気づかない。
「動くな!」と叫んだが、スズメバチはすでに彼のうなじに達していた。
とっさの事態に、俺は
素手でハチをぶったたいたが、一発では一本を奪えず、更に2発目を加えた。
生徒が
「痛いです!」と叫んだ。
「(すわ、最悪の事態か…)」と焦ったが、ハチの一刺しではなく
俺のチョップが効いたからだった。
「ワザありか…」畳の上で痙攣して横たわるハチに、別の教師がとどめを刺し、事なきを得た。
【復讐】
翌日も暑かった。やはり耐えきれず、窓を開けた。
「大丈夫。俺がやっつける。」
(まさかそうそう飛んではこんだろう)
ところが、そう思ったのも束の間、昨日よりも一回りデカイのが来やがった。
しかも、
明らかに俺を狙っている。
(頭がよいムシだとは聞いていたが…いや、俺だけ
青の柔道着だからか?)
二回、三回と俺に急降下アタックを仕掛けてくる。
道場の隅に置いてあった
柔道着のズボンを武器に応戦する。
向こうが一瞬油断し、ロッカーの陰に隠れたところを一気に反撃し、気を失い、ピクピクしているところを、
テーピングで固め技。
尻からハリをピョコピョコ動かしているが、
すでにムシの息である。
しかし、珍しいのでとどめを刺さず、しばしその様子を観察してからゴミ箱に放り込んだ。
稽古に戻り、ややしばらくしてゴミ箱見てみると、なんと
テープの固め技から脱出していたではないか!。
なんとも
凄まじい生命力だが、感心している場合ではない。完全に体力を取り戻しては俺に
捨て身技を仕掛けてくるはずだ。
とはいえ、命をかけて戦った相手である。敬意を込め、ゴミ袋の口をしっかりと
絞め技で送ってやった。
【ま、まさか…】
合宿を終えて墓参りに行った。
オヤジの墓前にて手を合わせていると、ブーンいうと唸りが聞こえた。
2度ほど俺を威嚇し、そのまま飛んでいった…スズメバチ。
組織的に狙われているのか…。