スーパーカーに夢中だったガキの頃、オヤジがどこかから外車を借りてきたことが一度だけある。
しかし「外車に乗れる!」というワクワクは、「
○○○○(エンブレムね)」を見た途端急激にトーンダウンしたのを覚えている。
「なーんだ、アウディか。」
(なんて生意気なガキだったんだべ)
それも仕方ない。
手持ちのスーパーカー本に、ひとつも現れてこないメーカーは、ガキにとっては興味の対象外だった。
少なくともその頃のアウディは、外車といえども大衆車だったハズ。
そんなガキの頃の記憶を覆されたのが今日。
たまたま仲間から所在を教えてもらい、休日勤務後に立ち寄ったのはアウディのディーラー。
R8が2台展示してある。
現地仕様はメーター周りがカーボン素材でぐるりと囲われているが、日本仕様はこれがガラスに映りこむので見づらいという理由か、プラスチックに代わっている。
面白いのは、ノーマルボディは2トーンなのに、オプションとしてわざわざモノトーンにするためのパネルが用意されているということ。
V8・4.2L・420馬力のエンジン、1800万円の必要資金、クワトロミッドシップ、350km/hまで刻まれた速度計…まだわずかに残った、俺のガキ心は十分ときめく。
しかし、買えない僻みは別にし、これだけのスペックを十分に楽しむ場所など日本にはまずない…ということをすでに知り、すでに俺を支配して久しいオヤジ心はときめかない。
(そんなの関係ない!…ってな)
R8にRX8…名前だけはよく似た、日本のハチですらそんなにブンブン飛び回れないのに…もっとも、アッチのハチの実際の用途は別の所にあるんだろうけど…などと、なんとも夢が見られなくなった現実を、己に気づかせる魅力がこの手のクルマにはある。
だが最後に本音。
「それでも乗ってみてぇ!」