学校webから一通のメールが届いた。
中身は怒りに満ちている。
幼いお子さんが一生懸命に作った雪像を、二人の少年に壊されたというのである。
逃げる二人を捕まえたところ、我が勤務校の生徒だと名乗ったらしい。
話題はそこだけに収まらず、付近のファストフード店に屯してはタバコを吹かし、マンションのクルマにイタズラをするのもお前の所の生徒だと思われても仕方ないとおっしゃる。
さらには、これだけの実態を教職員がどれだけ把握しているのか、また学校から一歩出れば関係ないというのか…つまり学校ではどんな教育をしているのだといったような怒りが延々と続く…つづく。
当方としては合点の行かない箇所もあり、今のところはなんとも言いようがないが、少なくともどんな教育をしているのかはまず実際にご覧頂くとし、それから付近のパトロールなどは地域でやっていただかないと我々の身が持たないし、第一そんな義務はない。
初めにメールを読んだときには正直なところ腹も立ち始めた。
朝から夜まで満足に休憩も取らないのが当たり前で、実に多種多様のプレッシャーによって心身の不調を訴える教師が少なくない現実、そこに来てどいつもこいつも勝手なこといいやがる。
しかし、このメールに関しては、何度か読み直すうちに印象が変わってきた。
このご紳士、最後にこう付け加えておられる。
「長々と乱筆乱文大変失礼致しました。文中、乱暴な表現がありましたことをお詫び申し上げます。しかし、必要であればわたしはいつでもおっかない近所のおっさんになりましょう。」
そして最後にはきちんと自らの住所と氏名、返信無用と記されている。
幼子の父親という点からは、文面に反して意外と若い方かとも想像されるが、もしもご本人にお会いできたらこう言おう。
「お怒りはごもとっも。私なんか中3相手に未だ、メシ・返事・挨拶ばかりいっとるくらいですから、なかなか教育っていうのはゆるくないですわ。それにしてもあなたのような方がおられるというのはまだ日本もまだまだ捨てたモンじゃないです。」