帰宅途中、目の前を走っていた乗用車がゆらゆら尻を振り出した。
なかなか収束する気配がないどころか、揺れはどんどん大きくなる。
こちらは危険を感じて速度を落とし、距離を取った。
そのクルマはとうとうスピンし、大きな衝突音と共に目の前で電柱にヒットした。
すぐに安全確保のためにハチのハザードを点け、停車した。
フロントグリルは大きくつぶれ、機械的な灰色の煙が立ち始めた。
(ベルトなどの摩擦?)
すぐに運転席に駆け寄ると運転者は女性、隣にはチャイルドシートに女の子。
「大丈夫?」と声をかけると、ケガはない様子。
「気が動転しているので…」というので、クルマを移動してあげた。
横の女の子が「こわい…」と引きつっているので、「だいじょうぶだよ」と頭を撫でてやった。
「おうちはどっち?」と聞くと、一生懸命いろいろと喋ってくる。
再度「だいじょうぶだよ」と頭を撫でてやった。
(これでちょっと安心できたか)
スーパーの駐車場に移動したら、偶然運転者の知り合いがいたので、このあとのやるべきことを簡単に教えてあげて場を去った。
凍結路面で不意な挙動が発生したら、禁物は急ブレーキ。
落ち着いてクルマの鼻先を進行方向に向けて、むしろアクセルワークで切り抜ける。
広いところでサイドブレーキターンの練習をしておくといい。
(なんてことはもちろん言いませんでした)
凍結路面の日は、怖々ブレーキランプをやたらと点滅させるクルマを見かけるが却って危険。
故意に挙動変化を与えて姿勢を安定させる教習こそが北国のドライバーには必要と思う。
(避難訓練だ)